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 「拘禁刑」の導入によって、受刑者の特性などに応じた新たなプログラムが整えられる。「立ち直り」に軸足を置いた処遇には、現場の意識改革が不可欠だ。しかし、受刑者と日々接する刑務官からは戸惑う声も聞こえてくる。

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認知機能の低下防止のための指導を受ける高齢の受刑者=2024年11月1日、愛知県みよし市の名古屋刑務所

 名古屋刑務所では2001~02年、刑務官の集団暴行で受刑者3人が死傷する事件が相次いで起きた。明治時代につくられた旧監獄法が全面改正されるきっかけとなった事件だ。ところが、20年後の22年暮れ、同じ名古屋刑務所で刑務官22人が受刑者3人に暴行を繰り返していた問題が発覚。しかも、事件は、拘禁刑導入を盛り込んだ改正刑法の成立(22年6月)をまたいで起きていた。

 当時の斎藤健法相は、暴行問題を公表した臨時会見で「あれだけの大きな事件を起こしておきながら、なぜこのようなことになったか、正直理解できない」と漏らした。

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 法務省の第三者委員会は23年、再発防止策を提言。第三者委によると、被害を受けた受刑者3人は知的障害の疑いがあるなど意思疎通が難しく、刑務官らは「指示や規則に従わせることができないことへの腹立ち」などから暴行に及んだという。

 拘禁刑が始まろうとしている…

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