理工系の学びに興味を持ってもらおうと東京大学が始めた「東京大学メタバース工学部」が、この夏、開設から3年を迎える。小中高生向けから社会人のリスキリング(学び直し)講座まで、企業の支援も得ながら進めた試みは広がりを見せ、海外展開も視野に入れ始めている。

受講生増加 小中高校生も、社会人も

 「光は指を通ることができるのですか」

 7月26、27日にオンラインで開かれた東大メタバース工学部のジュニア講座「スマホで脈波を測ろう」。受講した小中高生らから、チャットにこうした質問が書き込まれていく。画面の中で中川桂一准教授が、ライトの光を自身の手に当ててみせると赤くなった。「吸収されたもの以外の色が見えるんです」と説明する。

講座「スマホで脈波を測ろう」で、小中高生らにライトの光が手に当たると赤く見えることについて説明する中川桂一准教授=2025年7月26日、オンライン講座画面から

 2022年秋から、すでに4回開催したこの講座には、計約450人が参加した。体の仕組み、赤血球とヘモグロビン、分光と炎色反応、動脈血……。表計算ソフトの使い方なども交えながら、脈波測定まで講座を進めていく。

講座「スマホで脈波を測ろう」で加算平均について説明する画面=東京大学メタバース工学部のオンライン講座の画面から

 東京大学メタバース工学部は、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材が不足する中、工学や情報に関する学習機会を提供して「ダイバーシティー&インクルージョン」を進めようと、22年9月に設立された。

 今回の講座のような「ジュニ…

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