Smiley face
写真・図版
もうすぐ夏休み。旅行に行く機会の数は、体験格差の一例として挙げられる(写真はイメージ)=Gettyimages

 経済的な理由や家庭の事情で学校外の活動ができない――。スポーツや文化活動などの差を示す「体験格差」という言葉に注目が集まっています。「#ニュース4U」で意見を募ると、まさに格差を感じるといった声や、機会には恵まれなかったけど不幸ではない、といった声が寄せられました。子どもたちにとって大切な体験とは? 夏休みを前に考えます。

貧しい家庭で育った、過熱する総合型選抜に娘が直面したというエピソードや、地方から都会に来た大学生、公立小教員の声から、子どもたちにとって大切な体験とは何か探ります。

  

「もっといろいろな体験をしていたら…」

 札幌市の50代女性はニュースを見るのが好きだ。「自分は会話の引き出しが少ないと感じるから」

 日雇い労働者の父と、専業主婦の母のもとで育った。家計は苦しく、母は毎月のように公共料金の支払いを待ってほしいと頭を下げていた。そんな母に、父はよく暴力を振るった。女性は父といる時間が大嫌いで、家族だんらんという言葉も嫌だった。

 中学時代、同級生の中には海外旅行に行く子もいて、学校で華やかな思い出話をしていた。女性は劣等感からとにかく勉強に打ち込んだ。郵便局に就職してから経済的な余裕はできたが、仕事はとても忙しく、母が体調を崩したこともあり、海外に行くという夢はかなっていない。

 今でもテレビで専門家やコメ…

共有