トトメス2世の墓から発掘された出土品=エジプト政府提供

 約3500年前に古代エジプトを統治していたとされるファラオ、トトメス2世の墓が発見された。エジプト観光・考古省が18日に発表した。「近年で最も重要な考古学的発見の一つ」としている。

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 発表によると、エジプトと英国の合同調査団が2022年にエジプト南部ルクソールの「王家の谷」の西約2.4キロの地点で入り口と主要通路を発見。当初はいずれかの王妃の墓ではないかと推測されていたという。

 しかし、その後の調査で、「亡き王」としてトトメス2世の名前を刻んだ器が発見されたことなどから、墓がトトメス2世のものだと特定された。墓の内部からは、古代エジプトの王の墓に特有のものとされる宗教書の装飾や、青い碑文や黄色い星などを描いた遺物も見つかったという。

 トトメス2世は、古代エジプトの第18王朝(紀元前1550年ごろ~同1295年ごろ)のファラオで、ハトシェプスト女王の夫として知られる。トトメス2世のミイラは別の場所で見つかっていたが、墓の場所は発見されていなかった。これまでの調査で、トトメス2世の墓は古代エジプト時代に浸水し、墓の内部にあったものは別の場所に移されたとみられるという。

 トトメス2世の墓を発見した時について、調査団の英国側の責任者のピアーズ・リザランド博士は英BBCの取材に、「予期していなかったものに出会うと、とても動揺する。墓から出ると妻が外で待っていて、私は泣き崩れるしかなかった」と語った。

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