台湾南部、屛東県にある第3原発。左の1号機は2024年にすでに稼働停止しており、右の2号機は2025年5月に稼働を停止した=台湾電力提供

 今年5月に「原発ゼロ」を実現した台湾で23日、原発再稼働の是非を問う住民投票が行われたが、再稼働への同意票が規定数に達せず、否決される見通しとなった。台湾紙の自由時報が報じた。一方、同意票は不同意票を大幅に上回っており、「原発ゼロ」に一定の懸念があることもにじむ結果となった。

 住民投票の可決は、同意票が不同意票を上回り、かつ同意票が有権者総数の4分の1以上となることが条件だった。今回は約500万票を上回る同意票が必要だったが、達しない見通しだ。

 その一方、同意票が不同意票を上回ったのは、「原発ゼロ」が電力不足や電力コストの上昇を招き、生活に影響が及ぶことを懸念する人びとが一定数いたためとみられる。台湾のシンクタンク、台湾民意基金会が8月8日に公表した世論調査では、66.4%が再稼働を支持。不支持の22.1%を大きく上回っていた。

 住民投票は、低コストで安定した電源を確保する必要性を訴えた第2野党の民衆党が提案。5月に2号機が稼働停止したばかりの第3原発(屛東県)について、安全性の確認を経たうえで再稼働することを問う住民投票案を立法院(国会に相当)に提出した。頼清徳(ライチントー)総統は不同意票を投じるよう呼びかけていた。

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