台湾から貨物船で密航、南樺太からの引き揚げ、伏見稲荷大社前の神具店での生涯、貧しい農家に生まれて14歳で就職……。「おじいさん/おばあさんの生活史」をテーマに、孫である学生が祖父母にインタビューした「書いてみた生活史 学生とつくる民俗学」が10月に発売された。戦中から戦後にかけ、どんな人生を送ってきたのかが孫の視点を通して描かれている。
編者は京都大の菊地暁助教(民俗学)。京大、大阪公立大、龍谷大の3大学で民俗学の講義を担当し、期末リポートとして「おじいさん/おばあさんの生活史」を受講生に取り組んでもらってきた。今回は2012年以降に提出された約5千本から菊地助教が選んだ作品12作をまとめた。
登場するのは1930~40年代に生まれた人々の暮らし。植民地や米国統治下の沖縄で暮らした人、「戦争の実感はなかった」と語る石川県の人。戦時下での様々な生活ぶりが語られている。
終戦間際に日本の植民地だっ…