中に入った甘いあんが特徴の、台湾土産の定番「パイナップルケーキ」。その製造会社がなぜか鳥取県にある。鳥取らしさをアレンジとして加え、全国で人気を呼んでいる。
鳥取県米子市内でカフェの店長などをしていた田中良平さん(44)は2017年、隣接する鳥取県境港市に台湾カフェを開いた。輸入雑貨の販売などを手がけていた会社「ブライアンテック」の台湾人オーナーに「飲食関係の事業を展開したい」と誘われ、入社して店舗を任された。
ただ、都会と違って鳥取県は人が少ない。しかもなぜ台湾カフェなのか。「続けるのは難しいんじゃないかな」という不安があった。カフェは、菓子など甘い物好きのオーナーの意向だったが、カフェより土産になるような食べ物を作って、鳥取をPRしたほうがいいんじゃないか。
土産物づくりをオーナーに打診すると、「それはいいね」との返事をもらえた。でもなにを作ればいいのか、アイデアが浮かばない。カフェのオープンから2、3カ月たって店が落ち着いたころ、オーナーに言われた。「とりあえず、パイナップルケーキを作ってみたら」
だが田中さんは心の中でつぶやいていた。「パイナップルケーキか……」
オーナーからの土産で、台湾…