岩崎茂元統合幕僚長=2013年4月

 自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた岩崎茂氏(72)が台湾行政院(内閣に相当)の政務顧問に就任したことが、台湾当局関係者への取材でわかった。自衛隊幹部経験者が台湾側の役職に就くのは異例で、中国側は反発している。

 関係者によると、岩崎氏は3月に政務顧問に就任し、任期は1年間。就任にあたり、卓栄泰(チュオロンタイ)行政院長(首相に相当)とも面会した。

 行政院の政務顧問は非常勤、無報酬で、さまざまな政策課題について行政院に対して提言を行う。日本人では飲食店経営者の野崎孝男氏が外国人として初めて政務顧問に就いたことが明らかになっている。

 岩崎氏は航空幕僚長を経て、2012年1月~14年10月、統合幕僚長。退任後は防衛大臣政策参与を務め、23年には瑞宝大綬章を受章した。

 軍事力を強める中国への対応は日台の共通課題だが、外交関係がない両者の防衛協力には壁もある。台湾側には岩崎氏を通じ、安全保障分野で日本側との関係強化を目指す狙いがあるとみられる。

 中国側はこれに早速、反発。中国外務省の毛寧報道局長は21日の定例会見で「台湾問題は内政問題であり、干渉は許さない」と述べ、日本側には申し入れたと明らかにした。台湾の民進党政権に対しては「外部勢力と結託して『独立』を謀って挑発してもうまくいかない」とコメントした。

 林芳正官房長官は21日の記者会見で、岩崎氏の政務顧問就任について「公職から退いた一私人の活動については、政府としてコメントする立場にはない」と語った。

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