フィリピンの首都マニラ沖で25日、140万リットルの工業用燃料油を積載したタンカーが転覆し、乗組員1人が死亡し、油の一部が流出しているのが確認された。当局は同国史上最悪の流出事故になる恐れがあるとして封じ込めを急いでいる。
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沿岸警備隊によると、25日午前1時すぎ、フィリピン船籍のタンカー「テラノバ」が北部ルソン島西のマニラ湾付近で転覆し、沈没した。乗組員17人のうち16人は救助されたが、1人の死亡が確認された。
記者会見した沿岸警備隊のバリロ報道官は、周囲数キロにわたって油が広がっているとし、「時間との闘い。被害の拡大を防ぐために最善を尽くす」と述べた。
マニラを含む北部地域では大型の台風3号と雨期の大雨が重なり、20日以降、洪水や土砂災害が相次いだ。25日までに22人の死亡が確認され、数千人が避難した。テラノバも強風や高波の影響を受けた可能性がある。
現地紙インクワイアラーによると、フィリピンでこれまで起きた最悪の油流出は、昨年2月に80万リットルの工業用燃料を積んだタンカー「プリンセス・エンプレス号」が中部ミンドロ島沖で沈没した事故だ。数百キロにわたって広がった油の除去に数カ月を要し、数千人の漁業者が休漁を余儀なくされたという。(マニラ=大部俊哉)