台風10号の進路予想を説明する大阪管区気象台の海老政徳・主任予報官=2024年8月25日午後3時、大阪市中央区、赤田康和撮影

 台風10号(サンサン)の進路予想は当初より、西寄りへとずれてきた。なぜズレが生じたのか。

 京都大防災研究所の伊藤耕介准教授によると、複数の要因が考えられるが、予想を狂わせた主なものは、台風10号の西側で、反時計回りに吹いている「寒冷渦(かんれいうず)」とみられるという。

 「寒冷渦に強い勢いがあり、台風10号を背負い投げするように、西側へと運ぶことがわかってきた」と伊藤准教授は説明する。

 では、なぜ「寒冷渦」の勢力を正確に分析できなかったのだろうか。

 伊藤准教授は「寒冷渦は高度約10キロと高い位置にあり、解明されていない点が多い」と指摘。その上で「そもそも海上の気象は陸上の気象よりも観測が難しい。データが気象衛星の観測データなどに限られる面もあり、海上を通る台風の進路予測はいまだに難しい」と話した。

 大阪管区気象台の海老政徳・主任予報官は26日の取材に「寒冷渦の存在は今回の予想の初期段階から把握していたが、台風の進路にここまで影響するほど強いものだとはみていなかった」と話した。(赤田康和)

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