吃音の当事者(正面右の2人)と話し合う香川大の学生ら=2024年7月5日午前9時26分、高松市幸町、福家司撮影

 発話障害の一つとされる「吃音(きつおん)」についての出前講座がこのほど、香川大学教育学部(高松市幸町)であり、教職を目指す学生ら約60人が受講した。今回は初めて学生たちと同年代の若者約10人を含む約20人の当事者や保護者らが講師役として参加した。

 香川大で小方朋子教授の担当する講義「特別支援教育の理念と実際」の一環として、毎年、吃音の当事者や保護者らが開いている。講座のあった5日は、若者の当事者を代表して大学生3人が意見を発表。岡山県立大保健福祉学部4年の森明花さん(21)が「人の名前が呼べず、教職を諦めた。部活の声かけができず、親には叱られたが、授業で苦手な音読をしなくてもすむようにしてくれるなど、先生に救われた」と話した。

 教職を目指しているという大阪大谷大教育学部3回生の森田実玖さん(20)は「小5のときに担任の先生に言われた『話せるようになってきたね』という言葉をマイナスに受け取ってしまった」と明かし、滋賀大教育学部4回生の藤原実緒さん(21)は「話し方を無理に矯正させるのではなく、その子に寄り添って、どういう風にしたら学校生活を送りやすくなるか、考えてくれたらうれしい」と思いを語った。

 その後、学生たちは5~6人ずつの班に分かれ、当事者と話し合うグループワークをした。参加した香川大教育学部4年の宮崎日菜子さん(21)は「子どもたちと一緒に考えることが大切と思った。当事者は同世代の方なので、話しやすかった」と述べた。

 若い当事者に3年ほどかけて粘り強く参加を呼びかけたという当事者の古市泰彦さん(さぬき市)は「進学や就職など共通の悩みを持ち、なかなか外に向かって発言するのが難しい若い当事者が自らの思いを話せば、教職を志す学生にも伝わりやすいと思った」と話していた。(福家司)

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