障害のある人の求めに応じて、負担が重すぎない範囲で困りごとに対応する「合理的配慮」。これを民間事業者にも義務づける改正障害者差別解消法が4月1日、施行されました。障害のある人とない人との共生社会の実現に向け、追い風となるのでしょうか。日本障害者協議会代表で視覚障害のある藤井克徳さん(74)に、義務化をどう受け止め、どんな課題があるのかを聞きました。
――そもそも、合理的配慮とは
2006年に国連で採択され、14年に日本政府も批准した「障害者権利条約」に盛り込まれた概念です。英語では「reasonable accommodation(リーズナブル アコモデーション)」。日本政府訳では「合理的配慮」としています。国連の人権条約で合理的配慮を定義したのは初のことです。
条約の2条でこう定義されています。「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、または行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失したまたは過度の負担を課さないものをいう」。これを踏まえて、障害者差別解消法に示されました。
定義のポイントは二つあります。一つは、「他の者との平等を基礎として」という点です。合理的配慮は、障害者に特別な権利をもたらすものではありません。障害のない市民との平等性を確保しようといっているだけです。
もう一つは、「特定の場合に…