平和への祈りを込めて原爆詩などの朗読を続けてきた俳優・吉永小百合さんの朗読会が5月31日、津田塾大学小平キャンパス(東京都小平市)で開かれた。キャンパスでは現在、画家・山内若菜さん(48)=神奈川県藤沢市=の作品展「命をみつめる」が開催中だ。2人の思いをつないだものとは――。

朗読会終了後、吉永小百合さん(左から2人目)や山内若菜さん(中央)と記念撮影する関係者ら=2025年5月31日午後4時32分、東京都小平市の津田塾大学、田井中雅人撮影

 朗読会と作品展は「わたしたちは何をみたか―哀しみから新しい希望に向かって―」をテーマに、津田塾大学創立125周年記念事業として企画された。平和への思いが込められた作品展は、若い世代につなぎたいと願っている吉永さんの提案で実現したといい、津田梅子記念交流館の山根記念ギャラリーで6月24日まで開催されている。

 3月に核兵器禁止条約の第3回締約国会議があった米ニューヨーク国連本部で展示された作品をはじめ、約40点が並ぶ。米国による核実験で被曝(ひばく)した漁船を金屛風(びょうぶ)に描いた作品群について、山内さんは「ぎらぎらしているのは水爆のおそろしい光であり、生命の光。核なき世界に向けて航海している様をみてほしい」と語る。

地球や平和をテーマにした作品の前に立つ山内若菜さん=2025年5月31日午後0時10分、東京都小平市、高木智子撮影

 山内さんは武蔵野美術大短大部で美術全般を学んだ。就職氷河期と重なり、卒業後は店員や工場労働といった派遣の仕事で生計をたてた。絵描きの夢を捨てきれずにいた2011年、東日本大震災が発生。原発事故に見舞われた福島県内の牧場では、放射能汚染を理由に牛が殺処分されていた。

 声なき声、小さな命から、ス…

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