2015年に砂川市で起きた死亡事故を伝える当時の朝日新聞の紙面
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 9年前の未明、新聞販売所がにわかに慌ただしくなった。

 「永桶(ながおけ)さんと連絡が取れない」

 永桶弘一さん(当時44)は北海道歌志内市周辺の約200世帯への朝刊配達を担当していた。仕事熱心で真面目な性格。配達時間に連絡が取れないのは初めてのことだった。

 何かあったのだろうか。

 当時の販売所長が永桶さんの携帯電話を鳴らし続けると、病院の看護師につながった。

 どうやら事故に遭ってけがをしたらしい。永桶さんが配るはずだった新聞は、従業員で手分けして届けることになった。

 永桶さんと同じ2002年に入社した朝日新聞サービスアンカー(ASA)滝川の中村浩一所長(45)は、歌志内へと向かう途中、国道12号が1キロほど通行止めになっていたことを覚えている。

 残夜に点滅するパトカーの赤色灯と立ち入り禁止の黄色いテープ。

 朝のニュース番組で、永桶さんが巻き込まれた事故現場だったと気づいた。

 15年6月6日午後10時半…

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