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 三重県伊賀市の稲森稔尚市長は3日、来年1月にも同性カップルの住民票の続き柄欄に、事実婚と同じ「夫(未届)」「妻(未届)」と記載できるようにする方針を明らかにした。朝日新聞の調べでは全国で鳥取県倉吉市や長崎県大村市、愛知県犬山市など11市区町に広がり、伊賀市が導入すれば三重県内では初めてとみられる。

 伊賀市の男性カップルが同日、同性カップルの住民票上の続柄を事実婚カップルと同様にすることや、全ての小中学校でLGBTQ+(性的少数者)について学ぶ機会を設けることなどを求める要望書を手渡した際に答えた。

記載認めないのは「行政による差別」

 総務省は、社会保障制度などの対象となる異性間の事実婚と、対象にならない同性パートナーの表記を同じにすると「社会保障の窓口などで実務上の問題が生じる恐れがある」と指摘している。稲森市長は「事実婚と同じ記載にできないのは、行政がやっている差別だ」と述べ、「地方自治体の裁量による自治事務であり、(総務省の)見解は何の拘束力も持たない」と話した。

 導入は来年1月ごろの予定で、市が同性カップルを「パートナー」と認める「パートナーシップ宣誓制度」(2016年導入)の宣誓者以外も対象という。

 稲森市長はまた、性的指向や性自認を理由とした差別や、カミングアウトの強制、本人の秘密を暴露することを禁止した三重県の「性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる県づくり条例」(21年施行)と同じような趣旨の市条例の早期制定や、「パートナー」の制度をカップルの親族を家族とみなす「ファミリーシップ制度」に拡充する方針も明らかにした。

当事者の2人「すごく感動」

 人権政策課によると、市では…

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