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「高裁でも違憲」の横断幕を広げて喜ぶ原告弁護団と支援者ら=2025年3月7日午前11時39分、名古屋高裁前、溝脇正撮影

 同性カップルに結婚を認めないことは、国が守らなくてはいけないルールの憲法に違反している――。同性婚をめぐる裁判で、25日の大阪高裁に先立つ四つの高裁判決は、いずれも現状を「憲法違反」と断じてきた。異例の展開の背景には何があるのか。

 裁判所は、法律が憲法に反していないかをチェックする権限を持つが、「違憲」と判断する例は限られる。法律は国会の議論を経て決まるもので、三権分立の原則をふまえ、裁判所は国会の裁量を尊重するためだ。

 ところが、同性婚訴訟では「違憲」との判断が相次いだ。地裁判決では、5件のうち4件が「違憲」か「違憲状態」で、「合憲」は1件だけだった。

 この流れは高裁の審理でさらに強まった。昨年3月~今月7日の札幌、東京、福岡、名古屋の4高裁の結論は、すべて「違憲」だった。

 「日常生活、職場、社会生活の各場面で人としての営みに支障が生じている」(札幌高裁)、「個人の尊厳が損なわれている」(名古屋高裁)――。4高裁は、同性婚を全く認めない現状の制度が、当事者への極めて重い不利益につながっているとの認識を示した。

 同性カップルは、異性間の夫婦と同じように生活していても、所得税の配偶者控除や伴侶の死後の財産分与などが受けられない。病院での面会や賃貸住宅の利用が制限されることもある。

 「パートナーと生涯をともに歩むことを社会的に認められる」という精神的な安心感や充実感も、同性カップルは得られない。

 こうした点を踏まえ、違憲判断の対象とされた条文は主に二つある。

 一つは「法の下の平等」を定…

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