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改修後の八事斎場の完成予想図=名古屋市提供

 名古屋市が運営する火葬施設2カ所のうちの一つ「八事斎場」(天白区)が、4月から建て替え工事に入る。完成は約3年後。この間はもう一つの斎場をフル稼働させ、対応件数を増やす。一方、独自の火葬施設を持たず「八事」に依存してきた周辺自治体では、長らく火葬できない「火葬待ち」が懸念される。

 名古屋市によると、八事斎場の現施設は1971年に建てられた。天然ガスを燃料とし、火葬設備の自動化、排煙の無煙・無臭化など環境に配慮した施設だが、老朽化のため建て替えることになった。

 2028年5月の完成をめざす新施設は鉄骨鉄筋コンクリートづくりと鉄骨づくりで、事業費約194億7千万円を見込む。火葬炉が現在の46基から24基となる。告別収骨室と有料待合室もそれぞれ24室ずつ整備する。

 火葬施設が市内に1カ所になることを受け、市は計29基ある第二斎場(港区)の1日1基当たりの火葬件数を2件から3件に増やす。稼働日はこれまでの334日から、元日を除く364日稼働させる。

 フル稼働によって1年間の火葬可能件数は3万1668件となる計算。八事と第二を合わせた23年度の火葬件数は2万8624件だったため、フル稼働させた第二では3千件の余裕が生まれるという。それでも、冬の火葬件数が多い時期に予約が取りづらい状況が発生する可能性があり、市民優先の予約枠を設けるという。第二斎場の予約ができず、市民が市外の火葬場を利用した際は火葬料金の半額を補助する制度を新たに設ける。

 一方、影響を受けるのは、「八事斎場」に頼ってきた周辺市町だ。

空きを待つ?遠方へ?避けられぬ混乱

 「火葬場のない周辺自治体での混乱は避けられないでしょう」。こう話すのは、葬儀社「家族葬のソウネ」(尾張旭市)を運営する石高石材販売の恩田亮司社長だ。

 ソウネでは4月以降、「火葬…

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