名古屋市昭和区の名古屋工業大学は、学部と大学院修士課程(博士前期課程)の授業料を値上げする検討を始めた。今後、学生や保護者、教職員らと意見交換などをして、議論していくという。
28日に開かれた、学長や理事、学科長らで構成する「教育研究評議会」で示された改定案では、現行の年53万5800円(文部科学省の省令で定められている標準額)から年64万2960円への値上げが示された。
国立大の授業料は標準額の最大1.2倍にまで各大の判断で増額ができ、今回の改定案はその上限額となる。
改定した場合、学部は2026年度の入学者、修士は27年度の入学者から適用することを想定。博士後期課程は据え置く。
名工大によると、昨今の人件費や物価の高騰、運営費交付金の減少などで大学経営が圧迫されている状況が背景にある。教育設備の劣化も進んでいるといい、学生の修学環境の改善・向上のため費用の確保が必要だという。
案の通り改定した場合、30年度に5億5千万円の増収が見込まれ、最先端の学修基盤の更新や快適なキャンパス環境の整備、工学人材教育の拡充などに充てることを検討。一方、学生への経済的影響を考え、世帯年収によって授業料を全額・半額免除する支援制度も検討するとしている。
全国では、東大が今年度の入学者から学部の授業料を上限である64万2960円に引き上げるなど、首都圏を中心に値上げする国立大が増えている。