名古屋港の飛島ふ頭コンテナターミナル=2025年2月28日午前11時10分、愛知県飛島村、溝脇正撮影

 豊田通商、東邦ガスなど3社は、名古屋港のコンテナターミナルで、水素を燃料にした燃料電池でコンテナの運搬や積み下ろしなどに使う荷役機械やトラックを動かす取り組みを進める。27日に発表した。まずは2025年度中に水素を供給するインフラの設計や技術の検証を行い、将来的に港湾の脱炭素につなげる。

 燃料電池に置き換える対象と見込むのは、ターミナル内でコンテナを運搬する門の字形のクレーン「RTG」といった荷役機械や、トラック、フォークリフトなど。3社は、名古屋港では年間で最大1500トンの水素が使えて、荷役機械はすべて燃料電池化できると試算する。

 水素の活用は電動化と比べると地上設備が少なくて済むが、設備投資の初期コストが高いことや、水素を安定供給する体制づくりが課題だ。東邦ガスは、水素の充塡(じゅうてん)に使う機器の数を減らすことによりコストを削減する方法を検討する。

 プロジェクトには産業ガス大手の大陽日酸も参画し、水素産業の拡大をめざす愛知県とトヨタ自動車が協力する。

 水素を使った港湾の荷役を巡っては、国内では東京港で昨年初めて実機を動かす実証が始まった。さらに神戸港で4月に始まり、横浜港でも近く始まる見通し。4番手にはなるが、貨物量が国内最多の名古屋港での取り組みが進むかどうかが注目される。

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