個人情報保護委員会では名簿業者や、自治会やPTAなどの名簿を扱う団体へ啓発をしている=同委員会ウェブサイトから

 国の個人情報保護委員会に届け出れば、私たちの個人情報を同意なく取引することができる。届け出業者は現在200以上あるが、老舗を自称する名簿業者が取材に応じた。無届け業者について、「法改正後、より地下に潜ってしまった」と語る。

――名簿事業を始めたのはいつから

 もともと父親が始めた事業。1990年代からだと思います。2005年に個人情報保護法が全面施行されるまでは大々的にやっていて、収益もかなり上がっていたようです。

 インターネットが普及する前の話なので、今の上場企業でも、通販会社やクレジットカード会社など、名のある大手企業がうちのデータを使って営業活動をされていた。うちのデータがあるから今があるという企業も少なくないはずです。

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――名簿事業の現状は

 個人情報保護法ができてから「名簿業者」と言われるようになり、業績も100分の1どころじゃないぐらいに縮小してしまった。

 採算は厳しい。問い合わせは、一日数件しかありません。業種で多いのは、不動産やリフォーム会社、太陽光発電、ウォーターサーバーなどです。電話での営業目的が7~8割、残りの2~3割がDM(ダイレクトメール)の送り先といった感じです。

――22年の法改正で、名簿業者が05年以降に入手した個人データのリストは実質的に販売できなくなった。現在どれくらい保有しているのか?

5千万件の個人情報を持っていた

 持っている個人情報は、のべ…

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