舞台の中央には、観覧車のゴンドラを模したセットがあるだけ。
ゴンドラの中、という限られた空間で物語が進むオリジナル脚本「廻(まわ)る」を演じた兵庫県立東播(とうばん)工(加古川市)は、昨年末の近畿高校演劇研究大会で最優秀賞に輝いた。
「廻る」は、籔博晶教諭(35)が脚本を手がけた。籔さんは、2017年の全国大会で、当時顧問を務めていた県立東播磨(稲美町)を全国最優秀賞に導いた経験がある。
このとき籔さんが書いた「アルプススタンドのはしの方」はその後、映画化もされた。野球部の応援にかり出された生徒たちが、「アルプススタンドのはし」で交わす会話で進む物語は、高い評価を受けた。
籔さんが数年前から構想していた「廻る」も、日常的な会話で構成される。6人の登場人物が、様々な組み合わせで観覧車に乗り、言葉を交わす。それぞれの思いが会話ににじみ、他者との関係や距離感が描かれる。
「廻る」の脚本の特徴は、観覧車という限られた場所に、時間の流れを持ち込んだ点にある。
平田オリザさんも「文句のつけようがない」
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物語は2017年3月から始…