向こうが透けて見えるほど薄く、軽い。高知県日高村で、そんな和紙を作っているのが「ひだか和紙」だ。コウゾを使った紙の中では「世界一薄い」と評される。
それが今、古文書や文化財の修復で脚光を浴びている。「デジタル化の時代だが、原本の重要性が見直されている」と社長の鎮西寛旨(ひろよし)さん(56)は語る。
鎮西さんによると、ひだか和紙が注目されたのは2009年にさかのぼる。国の補助を受けて導入した機械で、1平方メートルあたり重さ2グラム、厚さ0・02ミリの軽量極薄和紙を開発した。
この紙が、東京・浅草寺宝蔵門の吽形(うんぎょう)像の修復に採用された。文化財保存修復学会などでその成果が報告されると、国立公文書館や研究者などから相談が相次いだ。
10年代は、コウゾを減らし…