優れたテレビドラマの脚本家に贈られる第43回向田邦子賞の選考会が23日に開かれ、「マイダイアリー」(テレビ朝日系)を手がけた脚本家の兵藤るりさん(28)が受賞した。1982年に賞ができて以来、史上最年少での受賞となるという。この日の記者会見で兵藤さんは、小中高生の自殺者の数が過去最多であることに触れ、「理不尽な世の中になってきていると思っている。そこにあらがうような作品を作っていきたい」と話した。
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「マイダイアリー」は、昨年10~12月に全9話の連続ドラマとして放送された。主演の清原果耶演じる社会人1年目の主人公が、ふとした瞬間に学生時代の思い出を振り返る物語。等身大の若者たちのやりとりを描きつつ、言葉選びの繊細さが印象に残る作品だ。
選考委員を務めた脚本家の大森寿美男さんは、「セリフの行間で見せるドラマ。とても個性的な会話劇で、代わりの利かない作家性を強く感じた。まるで日記をつづるように自然体に表現していて、本当の力がないとできない」と高く評価した。
兵藤さんは東京都出身。お茶の水女子大の数学科を中退後、東京芸術大大学院に進学し、脚本を学んだ。
2020年に「就活生日記」で脚本家としてデビュー。主な作品に「それでも愛を誓いますか?」(共同脚本)や「わたしの一番最悪なともだち」などがある。
脚本家という職業との出会いは、浪人時代にさかのぼるという。
立ち寄った書店で、向田邦子…