登校する小学生に話しかける稲葉豊巡査部長(画像を一部加工しています)=2025年1月9日午前8時14分、愛知県西尾市一色町佐久島、松本敏博撮影

 愛知県の三河湾に浮かぶ周囲約11キロ、人口約200人の佐久島(同県西尾市)で、安全を一人で守ってきた県警西尾署佐久島駐在所の稲葉豊巡査部長(61)が今月、定年を迎え退職する。赴任して13年。島民にとってかけがえのない「友達」との別れを惜しむ声が広がっている。

留置場の容疑者たち見て考えた

 海沿いの通りに波の音が響き、澄み渡った空を鳥が舞う。

 「おはよう!」

 午前7時45分、明るくしゃがれた声に登校中の小学生が駆け寄ってきた。島唯一の学校まで約1キロ。休日に子どもたちと競ったボウリング大会や、人気バレーボール漫画「ハイキュー‼」の話で盛り上がる。稲葉さんは「警察官の僕が友達なら、子どもたちは悪い大人になりようがないでしょ?」と笑う。

 名古屋市出身。警察官を目指…

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