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「これ、銘仙なんです。ハイカラでしょう」と話す池田喜政さん=2025年6月10日午後、横浜市中区、上野創撮影
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 着物を、もっと着てみませんか――。百貨店で50年、呉服一筋だった横浜市中区の池田喜政(よしまさ)さん(73)が、着物や和服に関わるさまざまな相談に無料で対応し、楽しさを広めようとしている。14、15日には格安で販売する催しもある。

 池田さんは県立横浜立野高校を卒業後、横浜高島屋に就職した。配属されたのは予想もしなかった呉服部門だったが、懸命に仕事を学んで販売の工夫もするうち魅力を知り、バイヤーとして活躍するようになった。各地を訪ねて伝統の技術に触れ、大勢の顧客や職人らと豊かな出会いを重ねた。災害被災地での支援やベトナムなど海外での文化交流活動にも力を尽くした。

 2019年末に退職したが、着物を着る人の減少に胸が痛み、なにかできないかと思った。「長くしまったまま」「捨てるのは気が引ける」「譲り受けたが価値が分からない」といった声も耳に入る。少しでも日本の文化を守ろうと3年半前、父親の靴店だった本牧通り沿いの一軒家で「きもの相談処(どころ) いけ田」(横浜市中区)を開き、相談にのるようになった。

 「しまい込んだり捨てたりせず、着てほしい。その一念でお手伝いしたくて」。池田さんはそう話す。

 どの場面で何を着たら良いかといった基礎的な知識のほか、処分や買い取りのこと、品物の価値の見極め、手入れや保管法、体形に合わせた仕立て直しの費用などの質問に無料で答える。初心者への着付けも格安で教える。

 今年3月にはリユース品を買える「きものフェア」を企画した。「着てみれば、着物の力を感じて楽しさも分かるはず。お買い得な中古の品でも大丈夫です」と話す。

 14日から2日間、「相談処」に近い古民家スペースで開かれる「きものフェス」にも協力し、帯や羽織を含めて最大8割引きや一点千円のリユース品を販売する。問い合わせは地域スペース「山手縁乃庭(えんのば)」の渡辺さん(070・1378・7778)へ。

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