Zをつかめ:後編

若者向けマーケティングを強みとするフィントのオフィスで、同僚と話す田中隼輔さん(左から2人目)=2024年12月2日、東京都渋谷区、和気真也撮影
  • 【前編】大企業が頼る17歳

 アンバランスな映像がユーチューブ画面に流れた。アニメ風の4人のキャラクターと、「味ぽん」漬けサーモン丼の写真。「うま~」「旅先の味」。サーモン丼を食べる4人の感想が漏れる。今もユーチューブで見られる、ミツカンの「味ぽん」のPR動画だ。

 4人は、アニメ風のアバター(分身)を使いトークや歌を動画配信する「Vチューバー(バーチャルユーチューバー)」だ。昨秋にライブ配信された。

 企画したのはZ世代への訴求を得意とするマーケティング会社「FinT(フィント)」で働く27歳の田中隼輔さん。社内のVチューバー好きに聞き取り、4人の起用を決めた。

 アバター4人のうちの一人、ソフィア・ヴァレンタインさんは過去に「めんつゆが好き」と発言していた。動画内の雑談で1~2分程度だったというが、「彼女の『推し』のファンたちはこういう発言を聞き逃さない」と田中さん。これを「伏線」に、味ぽん好きになってもらう企画を立てた。

 狙いは当たり、この日、視聴者向けに限定販売した数千セットの味ぽんは2時間で完売した。動画には視聴者からこんなコメントがついている。「ポン酢使った料理あまり作ったことなかったから、これを機に買ってみた!」

ブランド認知度は圧倒的だけど…

 ミツカンの吉岡真優さんには…

共有
Exit mobile version