和歌山県吹奏楽コンクールが開催されている県民文化会館

 2日目の第61回和歌山県吹奏楽コンクール(県吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)が3日、和歌山市の県民文化会館で始まった。高校や大学、職場・一般の部の演奏がある。コンクール出場に思いを持って臨む2人を紹介します。

今大会で指揮者を勇退 開智・小川教諭

 初めて吹奏楽コンクールに出場したのは高校1年生の第10回だった。それから約50年。指導者としても長く吹奏楽に携わった開智中学・高校の音楽部吹奏楽団顧問・小川雅之さん(66)は、今回の第61回の高校A部門を最後に指揮者を勇退する。

 県立桐蔭高校で吹奏楽部に入部し、ユーフォニアムを始めた。音楽にのめり込み、高3のときには独学で作曲にも取り組んだ。その年のコンクールは、大人の指導者に代わって指揮も務めた。

 大学卒業後は音楽教員に。現在の開智中高の前身の修徳高校に勤務しつつ、卒業生が指導する伝統があった母校・桐蔭の吹奏楽部でも後輩を教え、コンクールに指揮者として出場した。

 修徳高校には吹奏楽部がなかったため、学校に働きかけて1987年に楽団をつくった。最初は生徒約20人とのスタートだった。

 中高一貫校になってからは、中学生も指導。これまで約800人の部員を教えてきた。

 「コンクールはやっぱり大変。結果はなかなか思うようにいかない」。指導歴が長くなっても、舞台の前日はプレッシャーに押しつぶされそうになる。コロナ禍の前は、会場で結果が発表されていたが、緊張のあまり、生徒と一緒に結果を聞くことができず、一人で舞台裏にいたという。

 一方で、指導の根底にはこんな思いがある。「目標は音楽を通して人間が成長すること。コンクールはそのための大きな手段に過ぎない」。音楽をやってきたからこそ今の自分があると思える。部員にもその思いが伝われば、と願う。

 今後はコンクールの指揮を後進の教員に譲り、指導だけに携わる。

 最後のコンクールに「みんなでいい音楽を届けたい」との思いもある。でも、「来年からは楽になるなあ」。これまでのコンクールを思い返し、ついこんな言葉がもれてしまう。

最後の年、あこがれのA部門へ 智弁和歌山・瀬谷さん

 「ああ、僕だけ呼ばれんかっ…

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