和歌山県知事選は1日投開票され、無所属新顔で前副知事の宮崎泉氏(66)が、共産新顔で元和歌山市議の松坂美知子氏(68)を破り、初当選を確実とした。当日有権者数は75万9006人、知事選の投票率は39・86%(前回39・86%)だった。
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4月15日に現職知事だった岸本周平氏(享年68)が急逝し、告示までわずか1カ月と、短期間の準備で臨んだ選挙。宮崎氏は擁立を主導した自民党のほか与野党各党の推薦を取り付けるなどし、選挙戦を優位に進めた。
1日午後8時過ぎ、当選確実の報を受けた宮崎氏が和歌山市内の事務所に姿を見せると、集まった国会議員や首長、県議や支援者らから大きな拍手がわき起こった。「岸本氏の弔い選挙」として万歳はせず、花束が手渡された。
宮崎氏は「選挙期間中、岸本知事がアドバイスをしてくれたような気がする。これからは県民の皆様の声をしっかり聞きながら、現場主義で県政を推進していく」と決意を語った。
知事室長や教育長を歴任し、4月1日に副知事に就いたばかりだった。急な訃報(ふほう)で事態は急転。4月下旬に「岸本知事の政策を引き継ぐことが、私に課せられた使命だ」と立候補を表明した。
選挙戦で宮崎氏は、「岸本氏が吹き込んだ息吹を育て、大きな花を咲かせる」と訴えた。「笑顔あふれる和歌山」の実現を掲げ、選挙期間中の17日間で30市町村全てを回った。街頭演説や個人演説会では、地元首長や議員、県選出の国会議員らが駆けつけ、支援を呼びかけた。
「子ども真ん中社会」「個性を生かして誰もが活躍できる社会」を目指すとし、農林水産業や地場産業、観光業への支援、医療・介護体制の充実などへ取り組むと主張し、支持を広げた。
衆院議員の石田真敏・自民党県連会長は「これからはリーダーとして県民の先頭に立って頑張っていただきたい」とあいさつした。
一方、共産の松坂氏は選挙戦で、南紀白浜空港が国の「特定利用空港」に指定されたことの撤回などを訴えたが、及ばなかった。和歌山市の県委員会で報道陣を前に、「暮らしを助け、平和を大事にする県政を訴えてきた。結果が出せず残念だが、みなさんから寄せられた声を実現するためにがんばりたい」と振り返った。