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唐古・鍵遺跡で出土した鉄製品=奈良県田原本町、塚本和人撮影
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 奈良県田原本町にある弥生時代の大環濠(かんごう)集落跡で国史跡の「唐古(からこ)・鍵(かぎ)遺跡」から、新たに県内最古級となる弥生中期末~後期初めごろの鉄製品がみつかった。町と山形大などの共同研究チームが21日、発表した。

 鉄の鋳造技術があったとされる中国北方の燕(えん)でつくられた斧(おの)の再加工品とみられ、燕の製品が近畿地方まで届いていた可能性が示されたという。

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 鉄製品は長さ約7・7~約3・7センチ、厚さ約0・6センチ、重さ約89・7グラムで、遺跡内の井戸から見つかった。

 砂や小石、さびなどに覆われているが、X線での撮影によって斧状で2カ所の刃部をもっていることがわかった。一緒に出土した土器の特徴や、放射性炭素の年代測定から紀元前1世紀末~紀元1世紀ごろの製品とみられるという。

 九州北部などの弥生時代の遺跡では近年、中国の戦国時代(紀元前403~前221年)の燕から運ばれたとみられる金属器の出土例が増えている。研究チームは今回の鉄製品も、燕で鋳造された鉄斧(てっぷ)を再加工した可能性が高いとみている。

 藤田三郎・町埋蔵文化財センター長は、出土した場所の近くで青銅器の工房跡とみられる遺構などがみつかっていることから、この鉄製品が青銅器づくりの道具だった可能性を指摘。「中国製の鋳造鉄斧の再利用品がヤマトまで入ってきていたとすれば、この遺跡の新たな位置づけが必要になるかもしれない」と話す。

 鉄製品は9月7日まで、田原本町阪手の「唐古・鍵考古学ミュージアム」で展示される。5日まで、今回の調査の速報展も開かれる。問い合わせはミュージアム(0744・34・7100)へ。

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