唐招提寺でうちわまきに向けて準備を進める僧侶ら=2025年5月15日、奈良市五条町、今井邦彦撮影

 ハート形の「宝扇(ほうせん)」をまく伝統行事「うちわまき」が19日、奈良市の唐招提寺で開かれる。そのためのうちわ作りの様子が15日、報道関係者に公開された。

 5月19日は鎌倉時代に寺を再興した高僧・覚盛(かくじょう)上人の命日。うちわまきは、殺生を避けるため蚊も殺さなかった覚盛をしのび、せめて蚊をはらえるようにと、法華寺の尼僧がうちわを奉納したことが始まりとされる。

 15日は僧侶や寺の職員が、ハート形の枠を赤い紙でふちどり、完成したうちわを麦わらの束に飾り付けるように挿していった。今年は関係者向けや販売分なども含めて2700本を用意するという。

 当日は午後1時から法要と舞楽奉納があり、午後3時から鼓楼の西側で約300本のうちわが4回に分けてまかれる。うちわまきの参加券は、同日午前9時から南大門付近で先着300人に配布。午後3時に雨天の場合は参加券とうちわの引き換えになる。

 ほかに約300本が抽選で授与される。抽選券は午前9時から午後2時半まで、金堂正面の参道で配布。当選者はうちわまきの直前に発表する(引き換えは当日のみ)。

 同寺の松浦俊昭(しゅんしょう)・副執事長は「うちわまきに参加される方は『われ先に』ではなく、譲り合いの心を持って臨んでいただければ」と話す。

 問い合わせは唐招提寺(0742・33・7900)へ。

直木賞作家が揮毫に込めた思いとは

 19日の唐招提寺うちわまきでは、各界の著名人約250人が奉納した絵や書の「絵うちわ」も展示される。その中には直木賞作家、門井慶喜さんが寄せたものもある。

 現在、朝日新聞朝刊で小説「…

共有
Exit mobile version