息子は明るい性格だった。自宅の遺影の前には、友だちからの手紙が何通も供えられている。
「パパ、友だちに同じ思いをさせないで」
父親の西田圭さん(50)はこの1年、息子がそう訴えているように感じてきたという。
- 薬の用法守らず運転、9歳犠牲に 市販薬でも意識障害の危険性
息子の倖さん(当時9)は、2024年5月16日午前8時15分ごろ、札幌市豊平区の市道交差点で命を失った。登校中、青信号で横断歩道を渡っていた時にはねられた。
運転手は当時64歳の男。10年以上前から糖尿病を患い、インスリン注射を打った後に食事をとらないと低血糖症状になるおそれがあった。だが事故当時、注射後の食事を怠って車を運転。意識障害に陥り、赤信号に気づけず、ブレーキもかけていなかった。
男は前日も物損事故を起こしていた。朝食を食べる習慣がなく、空腹状態でインスリン注射をすることが多かった。血糖値が上がる菓子類も車内に置いて無かった。
そんな男が問われたのは「過失運転」の罪だ。
昨夏、自動車運転死傷処罰法…