新型の固体燃料ロケットの開発に、官も民も難航している。ここ2年、国の基幹ロケット「イプシロン」と、民間ロケット「カイロス」が計5回爆発した。日本の小型ロケットは3年以上、人工衛星を宇宙に運べていない事態に陥っている。
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12月18日、和歌山県串本町から打ち上がったカイロス2号機。宇宙には達したものの、打ち上げ約3分後、異常検知システムが働き、衛星5基もろとも爆破された。「期待に応えられず残念」。豊田正和社長は会見でそう陳謝した。
原因は、ロケット末端にある「ノズル」の異常。燃焼ガスを噴出し、進行方向や姿勢を整えるノズルが向きを大きく振らし、機体が飛行経路から外れた。機体が円を描くように不自然に回転する姿が地上カメラに映っていた。
ノズルが破損したのか、ノズルを動かすソフトウェアの問題なのか。試験や点検で異常は見つかっていないといい、原因をどこまで解明できるかが今後の焦点となる。
2024年3月の初号機も同様に爆破され失敗したが、原因は打ち上げ速度の予測手法の誤りと判明し、ソフトウェアを修正して9カ月の短期間で再挑戦にこぎ着けたばかりだった。今回の失敗により、ロケット側に設計変更が生じると、時間が相当かかる恐れもある。
■受難続きの小型ロケット…