国と地方の関係は「対等」が原則なのに、大災害やコロナ禍が起きたら、国が自治体に指示できるようになる。そんな地方自治法改正案に対して、東大教授で行政学者の金井利之さんは、国の指示権は「あってはならないもの」と真っ向から反論しています。
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国の指示権(補充的指示権)の新設をめざす今回の改正案は、重大事態への対応について「国が指示を出せば問題は解決する」という発想に基づいており、机上論でしかありません。
個別法に規定されないような重大事態では、明確な解決策はすぐには見つかりません。「国が最善策を用意して指示できる」と考えるのは、無理があります。答えがないときこそ、国が自治体と協力しながら対策を探すことが必要です。指示権は切磋琢磨(せっさたくま)の努力を放棄しています。
国が都合のよい情報と中途半端な判断で、拙速に全国画一的な対策をとるのはリスクが甚大です。自治体が試行錯誤し、うまくいけば全国に広げる方が有益です。国と自治体の対等な政策論議には、対策の質を高める効果があります。
改正案では、双方の意見が一…