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シャチのアース=名古屋港水族館提供
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 名古屋港水族館(名古屋市港区)は3日、国内唯一のオスのシャチ「アース」(16歳)が死んだと発表した。国内で飼育されているシャチでは最も大きかった。今後、外部の複数の研究者の協力を得ながら死因を解明していくという。

 水族館によると、アースは7月31日午後から餌を食べなくなり、日中からプールの底に沈むなど、不調が見られるようになった。展示を中止し医療用プールで治療を続けていたが、8月2日深夜に容体が悪化し、3日未明に死亡が確認された。血液検査の結果から、感染症の可能性は低いとみている。

 同水族館によると、一般的にオスの寿命は50~60年。記者会見を開いた栗田正徳館長は、管理態勢について現時点で問題なかったとの見方を示し、「解剖検査をし、第三者の意見で評価されるべきもの」とした。

 アースは鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)で生まれ、2015年以降、名古屋港水族館が借り受け、17年には同館を所有する名古屋港管理組合がアースを購入し、飼育を続けてきた。

 飼育展示第二課の神田幸司課長は「(アースは)まじめで一生懸命ながんばりやさん。体は大きいが、顔がまるくて、甘えてくる姿が来館者から愛されていた。素直で、丸い目で寄ってきてくれる。誰からも愛されていたシャチ」と話す。「あまりに急だったので現実味がない。プールにぽっかり穴があいたように感じる」と神田課長。シャチの水槽前には献花台が設けられ、多くの花が供えられていた。

 名古屋港水族館にいるシャチはメスの「リン」(12歳)のみとなる。またアースが死んだことで国内で飼育されているシャチは6頭になった。

 国内の繁殖計画について「すべての国内のシャチには血縁関係があるので、すぐに繁殖ということは考えられなかったため、現時点では影響はない」(栗田館長)としている。

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