八角形をした「富山湾大水槽」。角にエアレーションを設置したところ、ブリの衝突回数が減った=2023年12月4日、富山県魚津市三ケ

 国内の水族館で最も古い歴史を持つ富山県魚津市の魚津水族館。見どころの一つは、地元の海を再現した「富山湾大水槽」。その主役、ブリの元気な姿は、飼育員が試行錯誤してたどりついた工夫に支えられている。

 2階の中央を占める水量240㌧の大水槽には、エイやクエなど大型魚が展示され、約140匹が悠々と泳ぐ。ここの名物は、ダイバーがえさを与える「お食事タイム」。魚が身を躍らせ、来館者から歓声が上がる。

 中でも目を引くのは、「富山湾の王者」と呼ばれるブリの群れだ。ところが、6年ほど前まで、「あれは何?」「病気じゃないの?」と来館者が気をもむ事態が起きていた。

 9割以上のブリの顔の辺りに赤い斑点があった。「水槽の前を歩くと、必ずといっていいほどお客さんに尋ねられ、悩みの種でした」。飼育員の西馬和沙さん(28)は振り返る。

 泳ぎ続けるブリがアクリル製の水槽を認識できないのか、何度も衝突してこすれた跡だった。

 その一因は、角が多い水槽の…

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