東京都墨田区にある賛育会病院は31日、同日から「内密出産」に取り組むと発表した。内密出産は、望まぬ妊娠に悩む女性が病院の担当者にのみ身元を明かして出産するもので、戸籍に母親の名前が載ることはない。日本では熊本市の慈恵病院に続き、2カ所目となる。
内密出産の対応について厚生労働省と法務省は2022年9月、自治体や医療機関向けの通知を出している。賛育会病院によると、内密出産の手続きなどはこの通知に沿って進める。内密出産があった場合、病院は江東児童相談所に連絡。子どもは児童福祉法に基づく「要保護児童」として保護される。児相からの情報提供を受け、墨田区が戸籍法の定めに基づき、父母の欄が空欄の子どもの戸籍を作成。子の出自を知る権利を保障するため、女性の身元情報や内密出産に至った経緯などの情報は病院が保管する。
海外では、内密出産の法整備が進む国もある。日本では法的根拠や公的支援がない中、慈恵病院によると内密出産で21年12月から今年2月までに43人が生まれた。子どもの出自を知る権利の保障や、安定的な運用の必要性から、病院と熊本市は国に法制化の検討を求めている。
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賛育会病院の賀藤均院長は導入について「内密出産は困難を抱え、望まぬ妊娠に直面した女性にとって最後のセーフティーネット。首都圏にも同様の機能を持つ病院が必要だと考えた」と話す。
賛育会病院は1918年に「…