ラベンダーの摘み取りを楽しむ子どもたち=2025年5月25日午前10時14分、滋賀県甲賀市信楽町、北川学撮影

 滋賀県甲賀市信楽町の紫香楽宮跡(しがらきのみやあと、国史跡)周辺で25日にラベンダー祭りが開かれた。地元住民らが企画したまちおこしイベント。ラベンダーの摘み取り体験には、家族連れなどが次々とやってきた。

 一家4人で訪れた市内の男性(45)は「保育園の掲示板で祭りのことを知った。素敵なイベントだと思う」。近所に住む樋口たか子さん(66)も「ラベンダーで信楽が有名になれば」と話した。

 聖武天皇が742~745(天平14~17)年に造営した紫香楽宮。市や立命館大学と協力して地元のまちおこしを担う雲井自治振興会は、「紫の花の香りを楽しむ場所に」と2021年10月に初めてラベンダーを植えた。

 昨年は一般の人が参加する摘み取り体験を実施し、今年は「祭り」として規模を大きくした。

 ラベンダーは地中海沿岸などが原産だ。雲井自治振興会・紫香楽宮跡活用委員会の金谷英三さん(75)は「ラベンダーと紫香楽宮の歴史的なつながりは全くない。『関係ないからやめた方がいい』という声も強かった」と明かした。

 だが、ふたを開けてみると祭りには約700人が訪れた。「一時は雨が降って心配したが、盛況と言っていいでしょう」と金谷さんは喜ぶ。

 ラベンダーの現在の植栽面積は約4千平方メートルだが、10月に追加で植えて面積を広げるという。

 市も、紫香楽宮の中心にあった西脇殿の跡地を史跡公園として整備。5月に完成させた。柱があった場所に円柱を立て、推定で南北約100メートル、東西約12メートルに及んだ建物の規模を体感できるようにした。

 金谷さんは「ラベンダーと史跡公園で、まちを盛り上げていければ」と話している。

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