内戦下のシリアを訪れ、路上で市民の取材を始めると、いつしか小銃を携えた政権軍の兵士らに囲まれることがよくあった。市民の表情はみるみるこわばった。

 いたるところに設置された軍と治安機関の検問所、どこにいるかわからない密告者。そんな暮らしにみんながおびえ、疲れていた。

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 その政権が倒れた5日後の12月13日、晴天の首都ダマスカス中心部には数万人が集まり、解放感に包まれた広場で踊る人たちがいた。「自由だ」「幸せだ」。

広場に集まって、アサド政権からの解放を祝う市民ら。星が二つのシリア国旗の代わりに、政権を倒した反体制派が使ってきた星三つの旗が振られていた=2024年12月13日午後3時20分、ダマスカス、内田光撮影

 記者に答える自らの言葉、今まで見せたことのないような笑顔は、長年の恐怖による統治がいかに重いものだったのかを物語っていた。

 政権を倒した反体制派の中核は、米国や国連からテロ組織に指定されており、今後の統治の行方はまだみえてこない。それでも、隣国レバノンとの国境付近には、故郷に帰るシリア難民の長蛇の車列ができていた。

レバノンのシリア国境付近はシリアに戻る人々で混雑していた=2024年12月15日午後3時38分、レバノン国境、内田光撮影

 10年以上にわたる内戦の終わりも近いのだろうか。「これからはきっと良くなる」。口々に語った人々の期待が現実になることを祈りたい。

レバノンの国境では、シリアから出ようとする人たちもいた=2024年12月15日午後2時30分、レバノン国境、内田光撮影
秘密収容所「215支部」には、収容した人々の情報を管理した文書が並べられていた=2024年12月15日午前11時58分、ダマスカス、内田光撮影
放置された戦車の前で、アサド政権からの解放を喜ぶ市民ら=2024年12月13日午前8時25分、シリア国境付近、内田光撮影
アサド政権からの解放を喜ぶ市民ら=2024年12月13日午後1時39分、ダマスカス、内田光撮影
検問所にある、引き裂かれたアサド前大統領の顔写真=2024年12月13日午前6時54分、シリア国境付近、内田光撮影

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