「超 国宝」展で展示されている国宝・七支刀(4世紀、石上神宮所蔵)=2025年4月18日、奈良市登大路町、今井邦彦撮影

 奈良国立博物館(奈良博、奈良市)は23日、奈良県天理市の石上(いそのかみ)神宮に伝わる国宝・七支刀(しちしとう)(4世紀)をX線CT(コンピューター断層撮影)で「健康診断」した結果、非常に健全な状態だったと発表した。井上洋一館長は「七支刀を未来に伝えるための貴重な情報が得られた」としている。

  • 国宝・七支刀、初のCT調査 不鮮明だった文字の一部がくっきりと

 七支刀は現在、奈良博の開館130年記念特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」で、ガラス張りの木枠に入った状態で公開されている。

 搬入時に状態を確認するために、石上神宮の同意を得て文化財用のX線CT装置で撮影。その結果、亀裂やさびによる劣化は認められず、保存状態が良好であることがわかった。

 一方、刀身の厚さは2~3ミリと一般的な日本刀に比べて薄く、枝刃の部分はさらに薄いため、取り扱いには細心の注意が必要であることも再確認されたという。

 七支刀は「刀」と呼ばれているが、実際は両刃の「剣」。両側に3本ずつの枝刃が突き出した特異な形状で、表裏に計62文字の銘文(一部欠損)がある。

 朝鮮半島の百済(くだら)から倭(わ)(日本の旧称)に贈られたことが記されており、その時期は中国の元号で「泰和(=太和)四年」(369年)とする説が有力だったが、今回撮影された銘文の画像によって、さらに確実性が増したという。

 撮影を担当した奈良博の鳥越俊行・保存修理指導室長は「1600年以上も地上で大切に保管されてきたため、古墳から出土した刀剣などに比べると驚くほど良好な状態。これほど長く伝世した刀剣は世界的にも貴重だ」と指摘する。

 石上神宮の道上昌幸宮司は「七支刀はご神体に準ずる神宝だが、末永く未来に伝えるために調査をお願いした。この成果を研究に活用していただければ」と話した。

 「超 国宝」展での七支刀の公開は6月15日まで。月曜休館。詳細は展覧会公式サイト(https://oh-kokuho2025.jp/)やハローダイヤル(050・5542・8600)で。

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