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近江鉄道で使われた電気機関車「ED31形」4号機=2025年4月22日午後1時40分、滋賀県東近江市八日市上之町、辻岡大助撮影
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 国産最古級とされる電気機関車「ED31形」(旧デキ1形)の車体をペンキで塗装する市民参加型の催しが5日、滋賀県東近江市内である。車体の色は現在、近江鉄道(本社・彦根市)で活躍していたころの青みがかった灰色だが、戦前に長野県内の鉄道で走っていた当時のオリジナルに近い色に再現される。

 ED31形は長さ11・6メートル、幅2・5メートル、高さ4・2メートルで、横から見ると凸型のレトロな印象を与える車体だ。1923(大正12)年に6両が製造され、長野県の伊那電気鉄道(現在のJR飯田線)に「デキ1形」として導入された。このうち5両が戦後、譲渡先の近江鉄道で主に近江米や日本酒など地元産品の輸送に使われ、貨物輸送廃止後は工事臨時列車用などとして2004年まで活躍した。

 引退後、老朽化が激しかった3両は解体された。残る2両のうちの4号機は沿線にある東近江市八日市上之町の近江酒造の敷地で19年に保管された。びわこ学院大学(東近江市)の当時の学生と市民有志が任意団体「近江鉄道ED314保存活用プロジェクト」を立ち上げ、クラウドファンディングで約500万円の移設費を集めた。

 20年、さびによる車体の劣化を防ごうと、この団体が現役時代と同じ色のペンキで塗り直す市民参加型の催しをした。しかし、保管場所に屋根はなく風雨にさらされるため、近年、さびが再び目立ち始めていた。

 今回は約5年ぶりの「お色直し」になる。市民らから塗装の参加希望者を募るのは前回と同様だが、「車体をオリジナルの色で復元しよう」と趣向を変えた。

 ED31形が解体の危機にあったころ、飯田線沿線の鉄道ファンらは車両の里帰りと保存をめざしたが、かなわなかった。そんな思いもオリジナルの色の再現に込める。

 だが、そもそも肝心の「オリジナルの色」が分からない。

 伊那電気鉄道を走っていたの…

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