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昨年10月末に閉場した国立劇場=今年7月
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 建築資材高騰などの影響で、再整備計画が大幅に遅れている国立劇場(東京都千代田区)を巡り、7月末、都内で公開シンポジウムが開かれた。劇場を運営する独立行政法人・日本芸術文化振興会(芸文振)の杉浦久弘・理事長代理が講演し、「私見」も交え、現状と課題を報告した。

再整備に向けた入札は2度不成立 昨年10月から閉場

 歌舞伎や文楽、能楽の研究者などで作る楽劇学会が主催。討論なども行われた。

 老朽化した国立劇場について芸文振は、民間の資金やノウハウを生かすPFI方式で建て替え、ホテルなど民間による収益施設を併設する方針を決定。国からの出資金などのほか、ホテルを整備・運営する民間事業者から入る土地の賃料を、巨額となる建設費に充てる計画で、2029年度の完成を目指していた。

 しかし建築資材高騰や人材不足の影響で、過去2回は落札に至らず、新劇場開場のめどが立たないまま、昨年10月に現在の建物は閉場した。

 講演の冒頭、杉浦氏は「今年1月ごろから解体工事が始まっているはずだったが、今も劇場は閉鎖されたまま。おわびを申し上げたい」とし、「建設に必要な財源の確保は非常に大変。国の力を頂かなければ何ともならない」と窮状を訴えた。

 6月に閣議決定された「経済…

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