NHKのラジオ国際放送などで、外部スタッフだった中国人男性が沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」などと発言した問題について、稲葉延雄会長は18日の定例会見で改めて謝罪した。問題の一因として自ら指摘していたリスク管理に関して、「NHKは鈍感の面がある。頑健な組織に生まれ変わることで、真に自主自律の体制を作り上げ、視聴者の信頼を取り戻したい」と述べた。
会見冒頭、稲葉会長は「就任当初からリスクマネジメントの重要性を繰り返し訴えてきた」とした上で、「今回のような重大な事案が発生してしまったことは会長として慙愧(ざんき)に堪えない」などと語った。
日本銀行理事やリコーの取締役会議長を歴任し、2023年からNHK会長を務める稲葉会長は、一般企業を引き合いに、「主力製品1本で戦っているような企業は、その製品に重大なリスクが発生した場合、会社の存続に直結する」と言及。「会長としてNHKに来て率直に感じたのは、NHKはリスクに若干鈍感の面があるのではないか」と問題点を指摘し、「今回の事案はそうしたことが、根底にあったため起きたものだと受け止めている」と語った。
またこの日、稲葉会長は故・ジャニー喜多川氏の性加害問題を受け、旧ジャニーズ事務所(SMILE―UP.〈スマイルアップ〉)からマネジメント業務などを引き継いだ「STARTO ENTERTAINMENT〈スタートエンターテイメント〉」所属タレントの新規起用の見送りを改めて表明。一方で、スマイル社については、事務所の代表取締役を務めていた藤島ジュリー景子氏が8月までにグループ会社の会長職を全て退任したことを評価し、「(新旧会社の)経営の分離などかなり進展している」と述べた。(宮田裕介)