ウクライナのザポリージャ州オリヒウの前線近くで2024年10月9日、ロシア軍の攻撃により破壊されたアパートの前に立つ警察官=ロイター

 戦闘、軍事衝突、武力行使……。中東の紛争でもロシアのウクライナ侵攻でも、軍事行動はさまざまな言葉で表現されています。「宣戦布告」がないまま激しい戦闘が始まり、犠牲者ばかりが増え続けている今の世界の状況をどう考えればいいのでしょうか。国際法に詳しい早稲田大学の古谷修一教授に聞きました。

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 ――中東やウクライナの状況は「戦争」でしょうか。

 国際法上は、戦争(war)という言葉を使わず「武力紛争」(armed conflict)と呼びます。イランとイスラエルのような国家間の紛争は「国際武力紛争(international armed conflict)」、イスラエルとハマス、ヒズボラのように国家でない組織が絡み、一定の長期間の武力衝突があれば「非国際武力紛争(non-international armed conflict)」です。

「戦争」という言葉 なぜ使われない?

 伝統的には、戦争は国家と国家の武力紛争を指す言葉でした。法的には使われなくなった言葉ですが、武力紛争を一般的でわかりやすく表現するため、いまでも戦争といった呼び方をしているということでしょうか。そういう意味で、今回のウクライナやパレスチナ自治区ガザ、レバノンで起きている事態は戦争と言えるでしょう。

 ――戦争という言葉は、なぜ法律上使われなくなったのですか。

 第2次世界大戦後の1945…

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