国際海運での「脱炭素」の実現に向けて、国連の国際海事機関(IMO)は新たな規制を設けることに合意した。温室効果ガスの排出が多い船舶に負担金を課す一方、負担金を集めた基金から、排出の少ない「ゼロエミッション燃料船」に報奨金を払う。アメとムチで、重油などからバイオディーゼルなどの低排出燃料への転換を促す。
IMOは船舶の安全・環境に関する世界ルールを決める国連の専門機関。2023年に国際海運の温室効果ガス削減戦略を作り、「50年ごろまでに排出ゼロ」を掲げている。国際海運から出る温室効果ガスは世界全体の約2%を占める。
新制度は、11日までロンドンで開かれたIMOの委員会で、海洋汚染防止条約(マルポール条約)の改正案として加盟国の賛成多数で基本合意した。10月にも採択を目指し、早ければ27年3月に発効する。
新制度では、エネルギーあたりの温室効果ガスの排出量で、各船舶が原則守るべき「規制値」と目指すべき「基準値」の2種類を設定。規制値は35年に、08年比30%減、基準値は同43%減と設定し、段階的に強化する。
基準値を超えた分の二酸化炭…