100年をたどる旅~未来のための近現代史~②国際連盟の光と影
6月19日、ロシアのプーチン大統領は24年ぶりに北朝鮮を訪問した。
未明の到着だったが、北朝鮮の最高指導者、金正恩(キムジョンウン)総書記は満面の
笑みでプーチン氏を迎えた。
「ロシアのような強力な国家を戦略的パートナー、同盟国としているのは、我々にとってこの上ない誇りであり、栄光である」
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記は今年6月19日、24年ぶりに訪朝したロシアのプーチン大統領を歓迎する宴で、両国の軍事面での協力を強める条約が結ばれたことを最大限の賛辞で喜んだ。
2022年にウクライナ侵略戦争を始めた人物と、閉鎖された世襲の国で核兵器や弾道ミサイル開発に邁進(まいしん)する「指導者」。日米欧など「西側」の目には、独裁者同士が手を組むかのように映った。
厳しい経済制裁で経済が追い込まれた北朝鮮にとっても、「反米」の仲間であるプーチン氏と手を組むのは都合がいい。
「ほかにどんな選択肢があるというのだ」。ロシア政府関係者は、西側諸国の批判に、不愉快さを隠さない。「北朝鮮は、ウクライナへの『特別軍事作戦』を明確に支持している国だ。中国も支持を明言していない」。ロシアを追い込んだのは米欧のせいだとの思いがあるようだった。
プーチン氏はその1カ月前には中国も訪れた。習近平(シーチンピン)国家主席との首脳会談はこれまでに40回を超える。
- 【前回】「民主主義は終わる」松岡洋右は予言した 歴史が相似形を描く世界で
「ルールを押しつける米欧の試みを拒否する」。プーチン氏は訪中前のインタビューでそう語り、米国主導の国際秩序に挑むと宣言した。
中ロは第2次世界大戦後、国境紛争を抱え、激しく対立した時期もあった。ロシアは本来、台頭する隣国・中国を脅威とみなしており、単純な関係ではない。それでも、中ロに制裁を科す米国に対抗するという共通利益で結束し、北朝鮮やイランなどをまじえて米欧の秩序に対抗するグループを作ろうとしている。
「すでに世界は戦争の時代に」 国際連盟の反省に立ったはずが
第1次世界大戦の終結から第2次大戦に至る戦間期、米英などに対抗する日独伊の3国が同盟を結び、戦争に突入していった。私たちは、その時代の失敗から何を学べるのか。
戦間期にも光はあった。悲惨…