2011年3月11日午後2時46分。岩手県大槌町の大槌保育園では、園児らのお昼寝が終わり、これからおやつを食べようとしていたところだった。
地面が激しく揺れ始め、園舎から泣き声が聞こえたため、園長の八木沢弓美子(59)は園内放送で「先生のそばに集まって!」と呼びかけた。園内を見回ると、職員たちは保育室の中央に園児を集め、布団をかけて守っていた。
直後、津波警報が発表されたが、停電で園内放送が使えない。園庭を見ると、大きな地割れができていたため、すぐに高台のコンビニに避難することにした。園児113人はパジャマの上にジャンパーを着て、職員20人は着の身着のままで、園舎を出発した。
コンビニ周辺は避難してきた住民らでごった返していた。駐車場には大型トラックが10台以上も駐車しており、視界も利かず、身動きが取れない。
その間、保護者が続々と園児…