【動画】開発で取り残されたナミビアの先住民「サン」の集落=今泉奏撮影

「口弓」(マウスボウ)と呼ばれる伝統的な楽器を演奏するンジャンバ・モヨさん。弦を震わせ、口の中で反響させる=2025年5月27日、ナミビア北部オマタコ渓谷、今泉奏撮影

 丘を下る風にのって、静かな旋律が流れていく。

 ナミビア北部の半乾燥地帯オマタコ渓谷。先住民族「サン」のンジャンバ・モヨさん(75)は、先祖から伝わる「口弓」を奏でていた。弓の端に口を添え、柄を木の棒でこすると、小気味よい摩擦音と、口の中で共鳴した優しい音色が辺りに響く。

 演奏を終えたンジャンバさんは、ため息まじりに言った。「この曲を弾けるのは、私が最後。数年もしたら、先祖から受け継いできた音楽は、消えてしまうだろう」

南部アフリカ最古の先住民族「先祖の土地、フェンスで閉ざされた」

 国際人権NGO「国際先住民…

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