2028年度から投入される新型車両「HC35形」のイメージ=JR東海提供

 JR東海は10日、新型車両「HC35形」を2028年度から導入すると発表した。ハイブリッド方式の在来線普通車両は同社初で、名古屋駅と鳥羽駅を結ぶ快速みえや高山線の一部区間(岐阜―下呂)と太多線へ29年度までに38両を導入し、既存の気動車キハ75形と置き換える。

 ハイブリッド方式の車両は、ディーゼルエンジンで発電した電力と蓄電池からの電力でモーターを回して走行する。

 HC35形は、特急「ひだ」と「南紀」用のHC85系と最新の通勤型電車・315系で培った技術を活用する。最高時速120キロはハイブリッド方式では国内最高だ。

 2両編成の車内には、防犯カメラを5カ所設置してリアルタイムに確認できるほか、キハ75形にはなかった車いす対応のトイレを設ける。座席は、快速みえ用の1両で進行方向に応じて座席の向きを変えられる転換クロスシートを採用。高山線と太多線用は横並びのロングシートのみとなる。空調機能は、AI(人工知能)により混雑状況に応じて設定温度の補正を自動で行う。

 また、ハイブリッドシステムの採用などにより燃費が約35%向上し、CO2排出量を約30%、窒素酸化物(NOx)は約40%削減できるという。

 JR東海の丹羽俊介社長はこの日の定例会見で「軽油を燃料とするディーゼル車両を使ってきたが、CO₂を実質ゼロにするような技術の開発に取り組んでいる。水素動力車両の研究など、脱炭素に関する取り組みを進めていきたい」と話した。

共有
Exit mobile version