都市部から過疎地域などに移住して活動する「地域おこし協力隊」について、総務省は4日、2024年度の全国の活動状況を公表した。制度開始から15年、隊員数は右肩上がりで8千人近くまで増加。定着率も7割近くだといい「移住定住に着実に効果を上げている」としている。
調査結果によると、全国の隊員数は7910人(前年度比710人増)。09年度の制度開始後、13年度に約1千人に。17年度から5千人程度で推移し、コロナ禍を経て増加を続けてきた。隊員の4割が女性。年齢別では20代が33%、30代が31%を占めた。
隊員は、移住希望者の中から自治体が選考して委嘱。おおむね1~3年の任期中、まちづくりや地域の特産品開発、情報発信などに取り組む。将来的な定住につなげる仕組みで、受け入れ可能自治体の8割にあたる1176団体(同12団体増)が導入している。都道府県別の隊員数をみると、北海道(1307人)が最も多く、長野県(545人)▽福島県(354人)▽熊本県(327人)▽岩手県(313人)と続いた。
今回の調査では、直近5年間に任期を終えた隊員8034人のうち、68.9%の5539人が活動地や近隣市町村に定住している状況もわかった。定住後は就農をはじめ、カフェ・レストラン経営や芸術活動に取り組んで起業したり、自治体や観光業界に就職したりする事例が多かった。
地域自立応援課の寺田雅一課長は「外から来た人の目を通じて地域の良さが分かったり、地域の側も触発されたりする効果があり、地方を維持する上で大事な取り組み。双方のやりたいことを尊重しながら支援を続けたい」としている。
都道府県別隊員数の上位(2024年度)
1位 北海道 1307人
2位 長野県 545人
3位 福島県 354人
4位 熊本県 327人
5位 岩手県 313人
6位 新潟県 296人
7位 高知県 289人
8位 島根県 273人
9位 宮城県 262人
10位 岡山県 245人