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漁港に隣接する津波避難タワー=2025年8月5日午後0時46分、三重県志摩市志摩町和具、安田琢典撮影
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 2024年元日に巨大地震が起きた石川県の能登半島にそっくりな形をした半島が三重県志摩市にある。地形はもちろん、集落の配置まで似ており、南海トラフ地震が起きた場合、能登半島で表面化した孤立や復旧の遅れといった課題が、同じように起こる可能性は高い。

 その半島は、前島(さきしま)半島。地図で見ると、ひらがな「つ」の払い部分が、熊野灘に突き出たような形だ。急傾斜地が多く、稜線(りょうせん)に当たる部分に大動脈の国道260号が通り、海沿いに集落が点在する。

 南海トラフ地震で予想されている同市の最大の津波高は、県内で最も高い26メートル。合併前の旧大王町と旧志摩町にまたがる半島に、その高さの津波が押し寄せた場合、半島中心部にある旧志摩町の和具地区では、波が半島を乗り越え、一帯が浸水する可能性もある。

 今年3月、内閣府の有識者検討会は、南海トラフ地震の被害想定を見直した。同市への津波の到達時間は最短6分から5分に短縮され、浸水区域は2250ヘクタールから2380ヘクタールに広がった。

 地元では、危機感がいっそう強まっている。

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 2004年10月、5町が合…

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